菊づくり12か月

宮城県石巻市の鰐山丘陵に住んでいます。気候は安定していますが沿岸部特有のやませと秋の強風があります。

2011.3.11東日本大震災の際は、ご支援や励ましをいただき本当にありがとうございました。

1~4月 冬至芽の管理と土と肥料

 <1~2月> 雪の下で冬至芽は春を待っています。

 <3~4月> 春の日差しがキラキラとしてくるころ。新芽が伸び始めます。

 

<肥料>3月の穏やかな日にぼかし肥を作ります。私は下記の材料を使っています。

  米ぬか7kg、魚粉(骨粉)1.5kg、油かす1.5kg

  もみ殻燻炭適当(PH調整)、EM菌等の発酵促進剤

  米ぬかは精米所で無料で手に入ります。

  魚粉または骨粉、油かすは、ホームセンターで購入。

  EM菌等発酵促進剤を使います。

米ぬかぼかし肥の作り方はいろいろあるので検索してください。 米ぬかぼかし肥はサイロの香りがします。住宅地なので袋に入れて口を縛り臭いが漏れないようにして嫌気発酵させています。大体、5月中旬頃には良い状態になっていますが、口を開けてガス抜き乾燥させるときは少量ずつ臭いが周囲に広がらないように気を使いながら行っています。米ぬかぼかし肥を適切に使うと元気に菊は育ちます。また、野菜にもとても良い肥料です。

 

<土づくり> 9号鉢30鉢分で270L(腐葉土100、赤玉80、牛糞堆肥10、油かす・もみ殻燻炭・ゼオライト10、前年の土70)をつくります。バーク入り腐葉土と赤玉及び牛糞堆肥はホームセンターで購入しています。腐葉土は葉っぱの形が残ってるくらいの荒いほうが良いようです。前年の土は、大玉赤玉と古い根やごみを丁寧にとって袋に密封し日向においておきます。定植の時混ぜて使います。作業は冬でなまった腰にはきついです。


5月連休 さし芽

<5月連休>さし芽の方法は箱や鉢などいろいろありますが、黒ポリポットざしにして鉢数を勘案しています。

9号鉢を約8種30程度作っていますので、ロスも含めさし芽は約8種45程度にしています。

さし芽用土は小粒の鹿沼土とパーミュキュライトを1:1ともみ殻燻炭を適量入れてつくっています。

ルートン等の発根剤をつけ5cmの黒ポリポットにさして発根状況を見ながら6月1~2週目ころに鉢上げをします。

 

ジフィーポットを使うさし芽の方法を教わりました。発根したらそのまま植え付けられるので素晴らしい方法だと思います。試したら報告します。

 

 


6月 5号鉢上げ 摘芯(大菊3本仕立て)

<6月1~2週> 毎年のことですが鉢上げの時に5号から9号鉢にするか、それとも4号から6号に移して9号鉢に定植するか迷います。最近ちょっとずぼらになったので5号から9号鉢への定植を選んでいます。

土の跳ね返り防止を乾燥対策として水苔を敷きます。その際オルトラン顆粒と固形肥料を与え水苔を敷くとアブラムシの発生と急な乾燥が抑えられるようです。でも雨の多い年は苗の様子を見ながら早めに水苔を外しています。この段階で元気のよい苗をつくることが重要。近年気候も不安定なので成長を見ながら管理します。

 

<摘芯> 5号鉢に鉢上げ後、窒素やカリ分の多い乾燥肥料と国華園液肥Nを与え活力を付けます。摘芯は鉢上げから15日後に行っています。成長を見計らって摘芯の4日前にB9を与えます。摘芯は成長点を毛抜き(またはピンセント)で摘みます。そうすると上部3か所の脇芽が角度がついて横のほうに伸びてきます。中には脇芽が出ず縦に伸び続ける頑固者がいます。3枝に分かれるところが高くならないように調整するのが大切です。我が家ではこの時期は午前中日光がよくあたり午後から日陰になる場所においています。


7~8月 誘引と9号鉢上げ だるまと福助のさし芽

<7~8月 誘引・整枝> 脇芽を15cmくらい伸ばし誘引します。この誘引・整枝はとても気を使います。菊の三枝の曲げ付けは何回やっても緊張です。菊三本仕立ての関門の一つでしょう。私は2日くらい水をやらずに萎びたところを微妙な力具合で曲げていきます。もう少しと欲を出すと根元でポキッ、その感覚には心も折れます。その時登場するのが木工用ボンドです。ダメ元なのですが木工用ボンドを裂けたところに付けしっかり固定しておくとあら不思議、どういうわけか助かっています。この「富士の輝」は複雑骨折でしたが木工ボンドで救われました。裂けてもあきらめてはいけません。結構な確率で救助できます。

 

 <9号鉢上げ> 7月最終週に9号鉢に定植します。大玉赤玉を鉢底に敷きセパレータを3か所に置きます。土は鉢の半分程度にし三枝の分岐点を調整します。私は土を突き固める方法をとっています。突き固めたほうが根詰まりしにくいようです。セパレータは8月10日以降2週間ごとにひとつずつ抜き、3回に分けて増し土をします。

<支柱>支柱(アルミ製がよい)を立てさらに誘引していくのですが、毎年この時期に、昨日まで元気だった菊が急にしおれて葉をだらんとさせる鉢がでます。病気の可能性があるので処分します。

 

 <だるまと福助> 3本仕立ての苗を取ったのち矮化材が効きやすい品種を育ててだるまと福助の苗を取っています。気温も高く蒸し暑いので発根は60%くらいです。しっかり発根した苗を育てますので鉢数にはこだわってはいません。矮化剤B9を使うタイミングは何年やっても難しいものです。

 

 <柳芽> 菊づくりで厄介なのが柳芽です。ちょっとほったらかしておくと柳芽が発生し脇芽が一気に伸びてしまいます。見つけたらすぐに摘みます。東北という地域柄どうしても先行型の菊づくりになるので発生率が高くなります。

                                                                                                                                                    品種によって銅切りをして柳芽の防止策をとっています。


9月 害虫対策、潅水と肥料、台風対策

<害虫対策> 住宅地で菊を作っているので極力薬剤散布は行っていません。アブラムシ対策としてはオルトランDX顆粒を使っています。年間の使用回数と量も説明書のとおりにしています。

 

<潅水と肥料> 潅水は面倒でも10Lのじょうろで行っています。ホースで散水すると早いのですがじょうろを使うようにしたら下葉の枯れが少なくなりました。

肥料は8月25日に止め肥を設定してそれまでぼかし肥や乾燥肥料を中心に育成します。9月からは、液体肥料に切り替え追い込みます。液体肥料はハイポネックスや国華園のアミノからPKの順に使い窒素分を少なくしていきます。東北は日が落ちるのも早く寒くなるので、9月の追い込む時期に肥料をきちんと管理することが重要だと思っています。水やりと併用して液体肥料やKING等の活力剤を使っています。

 

<台風対策> 菊づくりの大敵はなんといっても台風でしょう。過去に台風を甘く見て散々な目にあいました。台風の時は強風が避けられる軒下に寄せて対策しています。近年の台風は勢力も強く対策を怠らないようにしたいものです。


10月 摘蕾 輪台付け

<摘蕾> 咲かせる蕾に見通しを持って下のほうから脇芽を切り摘蕾していきます。どれを芯蕾にするかは、菊と懇談しながらすすめます。10月2週目を過ぎると菊のほうから咲かせるべき蕾を教えてくれます。 本蕾か柳蕾を咲かせますが、咲かせなさいと教えてくる蕾は周りの蕾よりすぐにわかるくらい大きくなり自己主張してきます。ただ害虫に食害される場合もあり早く1本にするのは危険ですので予備蕾を残しておきます。

 

 この時期、太陽の高度が低くなるので我が家の庭は日陰が多くなります。順番に日当たりの良いところに置いて、日光に当てています。寒くなる時期、腰痛持ちにはちょっと大変です。

<輪台付け> 輪台は蕾の花弁が3,4枚開いたころに取り付けます。このころまで花茎が伸びるのでB9など矮化剤で調整することが大切です。花弁が開くと茎の成長は止まるので輪台を蕾の下に蕾を折らないよう注意しながら丁寧に取り付けます。管物はまだ花首が伸びるので矮化剤調整が必要です。

輪台は支柱に2か所ビニタイで結び付け高さの調整ができるようにします。茎ごとビニタイで止めてはいけません。

 

ただこの時期は何かと忙しく日も短くなり夕方も早く暗くなるので、なかなか菊に構うことができません。また、台風や強風があるので菊鉢が倒れ蕾1個にした菊が折れると心も折れます。風対策は重要です。10月後半から菊も水を欲しがらなくなるので菊鉢の重さを確かめながら水かけをします。

ここまでくれば11月の開花は間近です。


11月 開花

<鉢回し> 秋は太陽の高度も低く菊にあたりますので蕾は日光の当たる方を向こうとします。花首を止めていても太陽のほう向くのでその力には驚きです。なので花首が曲がってしまうので鉢回しをします。鉢回しは向いた方向と逆に日光があたるようにしています。

 

<開花> 近所の方が見に来られます。今年もきれいに咲きましたねと喜んでいただいてます。

 

<花じまい> 11月最終土日に花じまいの準備をします。花の下が変色したり、葉が変色したら切ります。


12月 片付け

11月末頃は菊花の下の方が変色してきます。菊花はおひたしにして食べられるのをご存じですか。我が家ではたっぷりの湯に少し酢をいれて菊花を湯がきます。酢と砂糖(すし酢またはポン酢)で味付けします。

 

さて、寒さが厳しくなるとどうしても片付けが面倒になります。そこは来年のことを考えて道具を整理するようにしています。特に支柱と輪台の管理は大切です。過去に後で片付ければいいと菊枝がついたまま重ねて置いていたところ雪が降ってぐちゃぐちゃになったことがありました。道具を丁寧に整理すると長持ちします。